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STAT6デコイ臨床研究
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東京医科歯科大学医学部皮膚科学教授の横関博雄氏は、STAT6に対するデコイオリ
ゴヌクレオチド(STAT6デコイ)をアトピー性皮膚炎患者に投与する臨床研究を開始したことを明らかにした。
STAT6はインターロイキン4やインターロイキン13の重要な転写調節因子で、IgE値
が極めて高い重症アトピー性皮膚炎患者に多く発現していることが知られている。
STAT6デコイは、STAT6が本来結合する部位と同一の配列を持つオリゴヌクレオチド
で、本来の部位への結合を阻害することで抑制効果を発揮するものだ。
アトピー性皮膚炎を対象にしたデコイとしては、NFκBのデコイが臨床試験入りし
ているが、STAT6デコイは、ステロイドやNFκBデコイが効かないような重症の患者へ
の治療薬とすることを目指している。横関氏は、アトピー性皮膚炎の動物モデルで
STAT6デコイが有効であることを示す結果を10月20日に盛岡市で開催された日本アレ
ルギーのシンポジウム3「アレルギー疾患の新しい治療戦略」で発表した。
横関氏は3種類のアトピー性皮膚炎動物モデルに対する効果を発表した。抗
DNP-IgE投与マウス、ハプテン反復外用マウス、抗原特異的IgEトランスジェニックマ
ウスに対し、センダイウイルスとリポソームをハイブリッド化したもののなかに
STAT6デコイを入れて皮下に投与した。
この結果、STAT6デコイが、抗原特異的IgE抗体投与によって、2峰性の反応が誘導
できる抗DNP-IgE投与マウスの耳介腫脹反応を抑制できることを確認した。またハプ
テンによる感作後、ハプテンを反復塗布することで、耳介腫脹反応が早期にシフトす
るハプテン反復外用マウスにも効果があることを確認した。さらにTNP特異的IgEの遺
伝子を導入し、マウス耳介にTNP-OVAを皮下投与することで3相性の耳介腫脹を起こ
す抗原特異的IgEトランスジェニックマウスでもSTAT6デコイは効果を発揮した。
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