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江崎ひろこさんについて
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昭和33年 京都市生まれ
昭和48年 京都市立堀川高校入学
昭和51年 平安女学院短期大学英文科通訳コース入学
昭和53年 1年余のOL生活をおくる
ブロック塀のようなゴワゴワの顔に亀裂が走り、山吹色の血汁が粘つきながら流れた。
下を向くと頭の重みで顔が裂け、上を向くと引力のため鼻の脇が裂けた。
あくび、クシャミ、咳で又裂ける。枕にうっかりして顔を押し付けてしまうと、
7センチ四方に顔と枕がくっついてしまい、取れない。
ベリッという音を立ててはがすと、又山吹色の汁。
目も目やにでくっついて開けられず、無理に開けるとまつげが全部取れた。
二重まぶたが腫れて一重になった。
頭を振ると血汁が飛んで壁にシミを作った。手を振っても手が裂けた。
かゆみのために転げ回り、ケイレンし、失神した。
顔じゅうにゴハン粒をはりつけて乾かした状態のパリパリのため、
口がお箸1本入るだけしか開かない。
パンを小さくちぎって牛乳に浸し、ドロドロにした物を太いストローで吸ったり、
プリン、ヨーグルト、桃などを少しずつ飲み込んだ。
口をもぐもぐさせるとかゆみが背骨を走ってエビ反りになり意識が遠のいた。
話も出来ないので筆談した。歩いても風を切るのでかゆみにのけぞった。
人がそばを歩いてもかゆみが来た。
呼吸も吸うのはマシだが吐くとかゆみが来るので、体が呼吸を拒む。
「呼吸しろー!」と心で叫びながら髪の毛をむしり、
シャープペンシルで腕を突きまくって血だらけになった。
が、やっと呼吸すると又かゆみにケイレンし、部屋の端から端まで転がり、
壁にぶつかり失神した。
かきむしると爪の間にミンチ状の肉片がくい込んで取れた。
顔から取れるカサブタは1日に大さじ3杯。箱のティッシュが2日でなくなった。
私の顔の皮を食べたゴキブリがキリキリ舞いをして死んだ。
そんな時、K医師は好転しない私の顔の治療にサジを投げたのか、「あなたの顔は一生治りません」と冷酷に見通しを述べた。
私は、あらゆる望みを断たれたと感じ、いっさいの薬物、いっさいの病院と縁をきった。同じ頃、Mという宗教に入信した私は、体はダメでも心は健康になってやるのだという新たな意欲に燃えていたのである。
ところが、薬をやめて数か月後のこと。突如、全身から薬のにおいが吹き出すとともに、尿や生理血に混じって濁毒がほとばしったのである。
(江崎ひろこさんの本より引用)
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